発達障害児の治療・療育に対する親の思い
日米の違いについて

2018.02.28 KUMIKO 育児・健康

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「学校や社会でみんなと一緒に生活できるようになってほしい」。これは、洋の東西を問わず、発達障害の子供を持つすべての親の願いでしょう。

でも、さまざまな文献を読んだり、話を聞いたりすると、発達障害児の治療や療育に対する親の考え方については、日本とアメリカでは若干違うように感じます。

概して合理主義的なアメリカでは、効果があると思われる方法は可能な限り取り入れようとします。一方で、どちらかというと倫理や精神論を重んじがちな日本人は、アメリカ的な方法に対して、少々受け入れがたい印象を抱くようです。

服薬に抵抗感を覚える日本人

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たとえば「服薬」。発達障害児の中には、車通りの多い道路に飛び出してしまったり、高いところから飛び降りたりする子供がいます。なかには、他人に暴力をふるったり、ものを壊したりするケースも。本人にとっても危険だし、場合によっては他の人に迷惑を掛けてしまうこととなり、そう考えると、親は気を休めることができません。

アメリカではこのような場合、精神科や心療内科の診察を受けて、薬を処方してもらい、こうした子供の危険な行動を抑えるのが一般的です。

しかし日本では、薬による副作用を心配したり(今は、副作用のない薬がたくさん開発されています)、この先いつまで薬に頼るのかと将来に対して不安を感じたり、何より薬で子供の性格を変えるかのような行為へ抵抗感を感じることから、服薬は控えたいと考える親がいることは確かなようです。

療育に「お菓子」はあり?なし?

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療育方法に関しても、日本とアメリカとでは親の意識の違いが垣間見られます。

発達障害児に対する療育のひとつに、ご褒美を使う方法があります。これができたらこれをあげるという、いわば交換条件で、専門用語でこのご褒美は「強化子」と呼ばれています。

例えば、強化子を用いて子どもが人との関わりをどんどん好きになっていくと、その後の人生で人と関わること自体が好きになっていく可能性があります。心理学上、子どもに新しいことを教える際に、強化子をすぐ提示することは大切であり、提示することでその行動がおこりやすくなるとされています。

アメリカでは、この強化子としてお菓子が多く利用されます。この積み木が積めたらチョコレート一粒、発語がひとつできたらアイスクリームスプーン一杯、30分以内に宿題を仕上げたらクッキー3枚など。

ご褒美は、すぐにもらえるものほど強い動機づけになるので、お菓子は子供にとってかなり魅力的な強化子となり得ます。

では、日本はどうでしょうか。日本では、お菓子は「虫歯」「肥満」「偏食」などのネガティブなイメージがあるせいでしょうか、あまり利用されません。代わって、「ゲーム1回」「シール」「アニメを観る」などを強化子として活用するケースが多いようです。

子供と親にとってベストな方法で

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よく言われる「富士山登頂の目的は同じでも、登る経路が違う」ということですね。

どの方法を取るかはそれぞれの親の考え方次第ですが、子供にとって一番効果があるのは、子どもにとってより良い療養は何かということを考えると同時に、親自身が少しでも心穏やかに暮らせる方法を選択することが望ましいと思います。

【参考文献】

  • 『ダウン症の子どもたち 発達障害児をめぐる涙と勝利の記録』(ヴァレンタイン・ドミトリエフ、誠信書房)
  • 『きみもきっとうまくいく―子どものためのADHDワークブック』(キャスリーン ナドー 東京書籍)
  • 『肥前方式親訓練プログラム AD/HDをもつ子どものお母さんの学習室』(伊藤啓介監修 国立病院機構肥前精神医療センター情動行動障害センター編)
  • 『自閉症スペクトラムの子どもたちをサポートする本』(榊原洋一、ナツメ社)