子どもたちが話してくれた胎内記憶

2018.01.21 櫻井 恵美子 妊娠・出産 ママ・パパ通信

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私には現在、9歳・6歳・2歳の3人の子どもがいます。

実はこの3人の子どもたちが生まれる前に、私はもう一人赤ちゃんを出産し、そして亡くすという経験をしています。11年程前、出産予定日より4ヶ月も早く生まれてきたその赤ちゃんは、たった496gの小さな小さな男の子で名前は「大ちゃん」。

大ちゃんは生まれてすぐ保育器に入り、NICU(新生児集中治療室)で24時間体制の治療を受けることができました。けれど予定日よりずっと早くに未熟すぎる体で生まれてきてしまったことが原因で、生まれて30日目に短い一生を終えました。

その後も我が家には大ちゃんの写真が飾られていて、3人の子どもたちも「お空にいるお兄ちゃん」として、大ちゃんの存在をごく自然に受け入れています。

娘が話してくれた、生まれる前の記憶

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長女がまだ4歳の頃、不思議なことを話してくれました。

「お空にいる時に、大ちゃんが双眼鏡を貸してくれたの。雲の上からその双眼鏡でいろんなママを見て、自分でママを決めたの。ママが一番優しそうだったから。パパも見えた。それから、大ちゃんがポケットに入っていた羽をたくさん貸してくれて、それを持ってママのお腹に入ったんだよ。初めは大ちゃんも一緒にママのお腹に入ったの。ママのお腹に私のお部屋を作るのを手伝ってくれたんだけど、途中で大ちゃんだけお空に帰っちゃった。」

長女の話は、空の上でママを選んだ時の記憶から、私のお腹の中にいた時の記憶に関することでした。私が驚きつつも「大ちゃんがいなくなって、さみしくなかった?」と長女に訊ねると、「生まれるまでは、大ちゃんが(ママのお腹の中に)時々来てくれて、いつもドロップスをくれたから、さみしくなかった。」と、うれしそうに笑うのでした。

知らないはずの事実と
ぴったり一致していた娘の話

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「ママのお腹に宿った時には大ちゃんと一緒。途中で大ちゃんはお空に還ったから生まれたのは私だけ」という長女の話には本当に驚きました。長女が胎内記憶を話してくれた時には、まだ子どもたちには伝えていませんでしたが、確かに妊娠当初、長女は二卵性の双子でした。けれども、双子のうちの一人の赤ちゃんは妊娠10週の時に稽留流産*(けいりゅうりゅうざん)となったので、無事に生まれてくることができたのは長女だけ。長女の話は、この過去の事実とぴったり一致していたのです。

*稽留流産とは、胎児が死亡してしまっていて、妊娠が継続できない状態になっても、まだ出産・腹痛などの症状がなく、胎児が子宮内にとどまっている状態のこと。

兄弟の誰よりも先に生まれ、誰よりも先に空に還った大ちゃんは、数年後に別の赤ちゃんとなって長女と一緒に再び私のお腹に宿り、そしてまた空に還っていったのかもしれない…。そう思うと、驚きと同時に、嬉しいような何ともいえない気持ちになりました。

長女の話から2年ほどが経ち、つい先日、長女はお腹の中で初めは双子だったこと、双子のもう一人の赤ちゃんは生まれる前にお空に還ってしまったことなどを、子ども達に初めて話しました。どんな反応が返ってくるかドキドキしていたところ、まだ2歳の末っ子はキョトンとしていましたが、長男と長女は「大ちゃんが本当についてきてくれてたんだね!」と2人で大喜びしていました。

生まれ変わりという不思議な話も、子どもは何の疑いも無く素直に受け止められるのですね。

例え事実で無くても、幸せな気持ちに

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こんな風に、小さい子どもが、生まれる前の胎内記憶を話すことはめずらしいことではないそうです。ただ、大きくなるにつれて生まれる前の記憶が曖昧になり、やがて忘れてしまうようです。

長女が話してくれた胎内記憶が、本当のことなのか確かめようがありません。けれど私にとっては、元気に育ててあげることができなかった大ちゃんの存在を感じることができる長女からのプレゼントのような話であり、とても幸せを感じることができました。

2歳の末っ子は、まだ言葉が達者ではないため、胎内記憶を話してくれたことがありません。でも、もう少し大きくなって、おしゃべりが上手になったら、「ママのお腹の中に入る前はどこにいたの?お腹の中でのことを覚えてる?」と、ぜひ聞いてみたいと思っています。