JICA全国展開プロジェクト@ベトナム PartⅠ どんどん活用しよう!母子手帳

2017.12.29 World-Mommy 編集部 ライフスタイル

photo:JICA

ベトナムでの全国無料配布に向けて、「ベトナム版母子手帳」が経た道のりは、言うなれば「地方モデルを全国へ!」 今回は、全国導入が進められている「ベトナム版母子手帳」の特徴と内容について、お伝えします。

まず、地方で高い評価
そして、ベトナム政府が着目!

母と子の健康を継続的にケアするうえで、ツールとなる「母子手帳」。ベトナムでは、山岳地帯などの医療アクセスが比較的困難な地方で、母子手帳の効果が高く評価されたことが普及を後押ししました。

ベトナムでの母子手帳の普及は、1998年のペンチェ省(メコンデルタの中央に位置)での日本のNGOによる配布がきっかけでした。ベンチェ省ではその後、母子や医療従事者の使い勝手や効果を考えて何回も改訂を繰り返しながら、全省に普及していきました。また、ハザン省(山岳地方に位置)でも、2009年から母子手帳の配布が始まりました。

両省での「ベトナム版母子手帳」の有用性と展開に着目したベトナム政府は、その発祥国である日本へオフィシャルに技術協力を要請。ベトナム版母子手帳の、全国での配布とそれに向けての標準化の活動が幕を開けたのです。

JICA「母子手帳全国展開プロジェクト」

photo:JICA

2011年2月から約4年に渡り、JICA「母子手帳全国展開プロジェクト」が展開されました。このプロジェクトでは、それぞれが異なる地域特性をもつ4省(ディエンビエン省、ホアビン省、タインホア省、アンザン省)で母子手帳を導入し、実際に使用した経験と効果をもとに、全国へ普及するのに適した内容へと、項目や内容等に改定が加えられていきました。そして、プロジェクト終了時には、全国標準としての「ベトナム版母子手帳」が完成したのです!

2017年現在、ベトナムで母子手帳の普及を推し進めるJICAの支援活動は、ベトナムの全63省のうち、47省で行われています。ここに至る経緯の詳細は次回に取り上げ、「ベトナム版母子手帳」の内容に注目してみましょう。

母子手帳の入手方法は?

 

(1)無料配布

ベトナムでは、各地方省から妊産婦へ無料で配布されています(母子手帳はベトナム国内では販売されていません)。

2Webサービスを利用

Web上で母子手帳のホームページhttp://sosuckhoe.com が開設されています。こちらでは、母と子に関する「全国的な情報」「地方ごとの情報」「母子手帳」「ママと子ども」「出産関連」といったカテゴリーで、ベトナム保健省が、ママやパパに向けて妊娠、出産、子育てに役に立つ情報を配信しています。

特にFacebookでは、地方省の母子手帳実施に関する最新の動きが掲載されています。医療関係の記事も掲載されていますので、医療アクセスが困難な時にも参考になるでしょう。

ホームページで特に注目したいのは、「母子手帳」のカテゴリーです。母子手帳を無料配布以外で入手する方法として、

⑴ 下記URLでダウンロードして保存もしくは印刷ができます。

http://sosuckhoe.com/2016/11/07/bo-so-theo-doi-suc-khoe-ba-me-va-tre-em-bo-day-du/

⑵ 下記URLにアクセスして、FacebookやTwitter, Google+のアカウントでログインすると電子版を利用できます。

http://somevabe.com/#login

無料配布がされていない省でも、また、保健省へ出向くことが難しい場合も、ホームページからダウンロードしたり電子版を利用したりすることで、母子手帳の利用が可能となります。

ベトナム版母子手帳の特徴は?

 

一言で「母子手帳」と言っても、そのページ内容には世界各国のお国事情が反映されています。相手国の立場を尊重しながら対等な関係でお互いに学び合おうとするJICAの姿勢は、この点でも貫かれています。

《ベトナム版母子手帳 目次:掲載項目》

ベトナム版母子手帳の内容は、大きく4つに分かれます。

 Ⅰ.基本的な情報

 Ⅱ.妊娠ケア

 Ⅲ.妊娠中・産後ケア・赤ちゃんケア

 Ⅳ.子供の健康ケア

医療従事者だけでなく、妊産婦自身が記入する項目もあり、母子の健康を、妊娠期、出産、産褥期、新生児期、小児期まで継続的にモニタリングすることができます。

また、なんらかの問題がある項目については、黄色く塗られたスペースに数値や症状を記入するよう工夫がされています。この工夫により、ママとパパだけでなく医療従事者も、注意して赤ちゃんや子どもの様子を見守るようになり、適切なタイミングで必要な医療へと繋げることが可能となります。

母乳に関することや、へその緒をはじめ新生児のケアなど、「知識ページ」も図入りで説明がされていて、ママやパパが理解しやすいよう工夫がされています。

ママと赤ちゃん&子どもの健康を守るため
どんどん活用しよう!

 

ママと赤ちゃんや子どもたちの健康を継続的にモニタリングできる「ツール」として、ベトナムのママやパパたちも、「ベトナム版母子手帳」をどんどん活用していきましょう。

そして、大きくなった我が子に、彼や彼女たち自身の成長の記録として、プレゼントすることが出来たら良いですね。

日本のママやパパたちも、健診や予防接種の記録のために病院に持参したりするだけではなく、我が子の成長に関する様々な情報を記入したり、写真を貼ったりして、我が子オリジナルの「成長記録」として、楽しみながら活用しています。

次回は、ベトナムでの母子手帳普及の道のりについて、JICAの支援をまじえてお伝えします。

〈参考文献〉

・JICA「母子健康手帳全国展開プロジェクト」

https://www.jica.go.jp/project/vietnam/012/outline/index.html

・『ベトナム国母子健康手帳全国展開プロジェクト』を終えて

~官民連携による持続性確保の取り組み~ 

JICA保健医療タスクニュースレター 「保健だより」第38号

https://www.jica.go.jp/activities/issues/health/ku57pq00000wwjhn-att/panf_hoken38.pdf

・ディエンビエン省における母子手帳普及の現状 母子と医療従事者をつなぐ母子手帳

https://www.jica.go.jp/vietnam/office/others/ku57pq00000g86de-att/monthly1710.pdf

・JICAナレッジサイト 母子保健

http://gwweb.jica.go.jp/km/FSubject0201.nsf/NaviSubjTop?OpenNavigator

【お話を伺った方】

JICA・吉津 智慧  Yoshizu  Chie

 

JICA (独立行政法人 国際協力機構) 人間開発部保健第二グループ3チーム所属(歯科衛生士/社会福祉士、東京医科歯科大学大学院にて口腔保健学修士取得。)ベトナムの保健医療を担当。JICA入構のきっかけは、まさに母子手帳であった。母子手帳は、「母と子の成長記録であり、自分がいかに大切に育てられたか」を示すツールとなることに魅力を感じたことが理由である。母子手帳の普及により、地域性に起因する母子保健上の課題が解決され、母と子の健康の増進に貢献できることを期待している。

 
 

独立行政法人 国際協力機構(JICA/ジャイカ(注))は、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。

(注)JICA/ジャイカはJapan International Cooperation Agencyの略称です。