母子手帳(母子健康手帳)とは?
~世界も注目! 母子の絆を繋ぐノート ~

2017.10.29 World-Mommy 編集部 妊娠・出産

 
 

日本では、妊娠したらまず市町村区役所や保健所の窓口へ届け出ることで、当たり前に手にする「母子手帳(母子健康手帳)」。日本のみならず、国際協力機構(JICA)の世界各国と連携した取り組みや国連、NGOの協力等によって、開発途上国を中心に今や世界40ヶ国に普及しています。

 

母子手帳は、なぜ、これほどまでに世界的にも注目され、普及しているのでしょうか?

今回は、お母さんになる準備を始めたプレママ、出産して赤ちゃんの記録を始めたママ・パパから育児真最中のママ・パパに向けて、改めて、母子手帳の役割とメリットをお伝えします。

母子手帳の役割って?

 

妊娠や、出産は、病気ではありませんが、母体や赤ちゃんにとっては命を落とす危険が伴ったものでもあり、その危険性をできるだけ予防するために、行政や医療機関で様々な母子保健医療サービスがなされています。

妊娠の兆候が表れると、皆さんはまず産婦人科へ行きますよね?

妊娠中は、助産師さんや産婦人科のお医者さんで診察を受け、出産は多くの方が病院(もしくは助産院)で行い、産後は、保健師さんや助産師さんから新生児のケアのための保健指導を受けることもあり、そして、予防接種は小児科のクリニックで行います。このように、妊娠、出産、乳幼児期は専門の先生が異なります。

ですから、妊娠、出産、その後の生育の課程において受けた母子保険サービスは多岐にわたり、生まれた時の体重は何グラム?身長は何センチ?節目ごとに受けた健診での様子は?予防接種はいつ何を受けたの?等、意識して記録していかなければ、その情報は忘れられたり、無くしたりしてしまいます。

母子手帳というかたちで医療や健診のデータを一冊にまとめ、保護者の手元に置くことで、異なる場所、専門家によって行われた母子保健サービスを、一貫して管理することができるようになります。

母子手帳の役割は、妊娠中、出産、新生児、そして、乳幼児、それぞれの時期を越えて一貫した記録として、母子の健康をサポートすることなのです。

 

母子手帳のメリット ~ 継続的記入により得られること

母子手帳は、産前産後の健診や、赤ちゃんの予防接種、成長の記録、妊婦としての注意事項、母子が受けなければならない健診の内容やタイミングがコンパクトに一冊に記載され、ママ本人と赤ちゃんのことを、成長の段階に応じて記入できるようになっています。

妊娠、出産、子どもの健康の記録を一冊にまとめることで、母子の保健データの一貫した一元的管理が実現します。子どもが病気時になった時には、必要に応じてそれまでの発達過程を振り返ることができ、逆に、それまでの発育の記録が病気の早期発見に役立つこともあります。一貫した健康記録の管理行うことはとても大切なことなのです。

また、初めての妊娠、出産、育児を経験していくママ・パパにとっては、母子手帳に記載されている内容は、子育てをしていくうえでの目安になります(赤ちゃんによって個人差がありますので、ひとりで心配し過ぎるのはよくありません。気になることは些細なことでも、健診の際にお医者さんに相談しましょう)。

このように、医療者と両親の相互のコミュニケーションを促進し、より安全で安心した出産、母子の健康管理を支える役割も果たせるものになっています。

ママ・パパが自由に記載できる部分も多く、例えば、「出産後の母体の経過」のページには「母親自身の記録」の欄もあります。「気分が沈んだり涙もろくなったり、何もやる気になれないといったことがありますか。」という質問では、母親の心理状態も知ることができますね。

正に、母子の絆を繋ぐものと言えるでしょう。

ご存知でしたか? 母子手帳のアイデアは日本発!

母子手帳のアイデアは日本発です。産声を上げたのは戦後間もない1948年(昭和23年)、子どもたちは栄養失調に悩み、感染症も多い時代でした。戦後の混乱の中で、妊娠中のお母さんと生まれた子どもの健康を何とか守ろうと、世界ではじめて考えられたのが「母子手帳」。貧しかった時代だからこそ、お母さんと子どもの健康をセットにして考えようという発想が生まれ、 それが母子手帳というかたちとなり、今に至っているのです。

次回は、母子手帳をグローバルスタンダードにするため活動しているJICAの取り組みと、母子手帳の世界での普及状況についてお話します。

<参考資料>

・保健医療 JICAの取り組み

・JICA保健医療タスクニュースレター「保健だより」第44号 2017年2月10日発行

日本が生み出した国際公共財 母子手帳が世界を変える

【お話を伺った方】

JICA・高島 和音 Takashima kazune

 
 
 
 
 
 

JICA (独立行政法人 国際協力機構) 人間開発部保健第二グループ3チーム所属(看護師/保健師、リバプール熱帯医学校にて公衆衛生修士取得)。ベトナムなど、東南アジアの保健医療事業を担当。また、同機構内の母子保健タスク事務局にて、母子保健をテーマに、母子手帳を含む母子継続ケアの促進や、分野横断的なアプローチによるより質の高いサービス提供の実現に向けた、各国への日本の協力について、日々検討を進めている。

独立行政法人 国際協力機構(JICA/ジャイカ(注))は、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。

(注)JICA/ジャイカはJapan International Cooperation Agencyの略称です。