開発途上国とJICA(国際協力機構)
~世界に広がるJICAの母子保健での取り組み~

2017.11.29 World-Mommy 編集部 ライフスタイル

JICA(国際協力機構)と母子手帳

photo:JICA/Kenshiro Imamura

意識したい!世界を変えるための17の目標

2015年9月、「2030アジェンダ」が、ニューヨーク国連本部において、193の加盟国による全会一致で採択されました。「誰一人取り残さない-No one will be left behind」を理念として、国際社会が2030年までに貧困を撲滅し、持続可能な社会を実現するための重要な指針として、17の目標(ゴール)が、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)として設定されました。

そのなかのひとつ、「3.すべての人に健康と福祉を」達成に向け、JICAでは、母子保健サービスの拡充を通じて、UHC(Universal Health Coverage)*達成に貢献することも重視しています。そして、母子の継続的ケアを推進するツールとして、開発途上国による母子手帳の導入と普及に協力しています。第70回国連総会での安倍総理の演説や国際会議などでも、母子手帳は取り上げられました。JICAの活動に世界の注目が集まります。

*貧困や、距離、社会格差などの理由により医療サービスにアクセスできない人々をなくすという考え。

世界に広がるJICAの母子保健への取り組み

photo:JICA/Kenshiro Imamura

相手国の立場を尊重しながら対等な関係でお互いに学び合おうとするJICAの姿勢(母子手帳の表紙にJICAのロゴが入っていない国が多い点に注目!多くの協力機関は自身の名前を前面に出したがるものなのです。)は、諸外国の多くの国際協力団体の関心を引き寄せ、好意的に受け入れられています。

2016年11月には、世界38の国と地域から約400名が参加して、「第10回母子手帳国際会議」が東京で開催されました。母子手帳を、母と子の健康を守り増進するためのツールとする取り組みが、世界的な広がりをみせています。そして現在、母子手帳の国際標準化に向けて、WHO(世界保健機構)とJICAは、「国際ガイドライン」を策定しています。

実を結ぶ!20年超にわたるJICAの支援活動

photo:JICA/Kenshiro Imamura

1993年、日本が母子手帳の開発支援を始めた国は、インドネシアです。JICAが実施していたプロジェクトの一環で、日本に研修に来ていたインドネシア人医師が、母子手帳に感銘を受けたことがきっかけでした。日本は、母子手帳に関する技術協力に加えて、母子手帳を使った母子保健サービスの統合と継続的な提供の充実に寄与しました。

アフガニスタンでは、治安の関係で日本人の渡航が制限される中、ユニセフや世界保健機関(WHO)とも連携し、隣国へ関係者を招いて指導を行うなど、制約のある中で工夫を凝らした支援が続けられています。

ガーナでは、妊産婦への「妊婦手帳」と、出産後に渡される「子ども手帳」の2冊が使用されていました。しかし、子ども手帳を受け取るまでの狭間の期間、特に生まれてから最初の1週間に死亡する新生児が多いことから、「2冊の手帳が一体化されたもの」が開発されました。2018年4月以降に導入され、全国展開に向けてJICAも協力する予定です。

2008年、紛争による貧困も重なり母子の健康に深刻な影響が出ていたパレスチナでは、JICAの支援により世界初の「アラビア語版母子手帳」が発行されました。その後、パレスチナ全域と周辺国のパレスチナ難民にも、ほぼ100%母子手帳は使われています。現在、JICAの支援を受け、電子母子手帳の開発も進められています。

母子手帳の未来の形は、母と子の命と健康を守り続けます。

次回は、「ベトナムでの母子手帳普及におけるJICAの取り組み」についてお話しします。

〈参考文献〉

・JICAの保健分野の協力-現在と未来-

・課題別指針 母子保健

・母子手帳「世界の動き」-第10回母子手帳国際会議に寄せて

・持続可能な開発目標(SDGs)とJICAの取り組み

・UHC(Universal Health Coverage)

・平成29年「我が国の人口動態 平成27年までの動向」厚生労働省

・「世界保健統計2016年版」日本WHO協会

【お話を伺った方】

JICA・高島 和音 Takashima kazune

 

JICA (独立行政法人 国際協力機構) 人間開発部保健第二グループ3チーム所属(看護師/保健師、リバプール熱帯医学校にて公衆衛生修士取得)。ベトナムなど、東南アジアの保健医療事業を担当。また、同機構内の母子保健タスク事務局にて、母子保健をテーマに、母子手帳を含む母子継続ケアの促進や、分野横断的なアプローチによるより質の高いサービス提供の実現に向けた、各国への日本の協力について、日々検討を進めている。

 
 

独立行政法人 国際協力機構(JICA/ジャイカ(注))は、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。

(注)JICA/ジャイカはJapan International Cooperation Agencyの略称です。

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